普段より会社の洗車設備は個人の車にも使って良い事になっている。個人の車をピッカピカにすると、おのずと社有車もピッカピカにしたくなる。ピッカピカの車に事故は無しとも言われている。会社には洗車スペースに加え、ワックスや洗剤やメンテナンス工具も揃っている。不思議と洗車はお墓参りに似ていて、終わった後は清々しい気持ちにしてくれる。
土曜日の午前に会社で洗車して帰った。月曜日に出社すると洗車ホースが綺麗に巻き取られていた。土日は会社は休みなので、土曜午後か日曜日に誰かが出社して洗車したのだろう。私も毎回綺麗にホースを巻き取ろうとしたがこれがとっても難しく雑に巻き取る。会社はホースでは絶対の信頼があるトヨックスのコーランを使っていてホースの折れや曲がりがないが、頑丈なだけに綺麗にホースを巻き取るには一度すべて引っ張り出してから、力を入れて一回転ずつ丁寧に巻き取る必要がある。普段は何となく巻かれているが、この人は本当に綺麗に巻き取られていて相当に時間もかかったと思う。
でも後に使う人は間違いなく気持ちが良い。誰が綺麗に巻き取ってくれたか、探すのは止めにした。Aさんかな、Bさんかなと、誰かの善意を想像するのも楽しい。
先日「物流2024年問題について見解をいただきたい」と新聞社の方から要望いただき、お客様からの見解を教えてと言われる様になったので色々と調べてみた。調べる手順はだいたいお決まりで図書館からスタートする。
①図書館にいって関連の雑誌や新聞の回覧→収穫はほぼゼロ
②国土交通省とトラック協会のネット上の資料を入手
③ネットで関連の情報を回覧
④物流関連で信頼できる知り合いに聞きまくる。
①②③はマクロの情報、④はミクロの情報、これから絡めて独自の仮説や見解を展開させる。
一番に気づいた事は、ネットでこの問題を取り上げているのは、2024年問題を商売のチャンスと捉えている物流業界に関わっているコンサルタント・社労士・システム会社・M&A関連・商社などいわゆる部外者で、直接的に影響を受けるであろう荷主や物流会社の発信はかなり少ない。
2024年問題の大きな流れは、労働時間の短縮→ドライバー不足と賃金アップ→荷主への運賃値上げ交渉だが、物流コストの上昇を荷主への運賃転嫁で済むというシナリオだが、調べれば調べるほど物流業の構造改革が大きく進み、業界に激震が走る気がする。
入社初日に運転手に必ず伝えることがある。
45年前、家業の鋼材屋に入った私に、重大事故に接してきた父から安全についてとうとうと聞かされたこと。
①「鋼材を吊り上げたワイヤーは何時か必ず切れる」
ワイヤーは切れるまで使いつくすので、ワイヤーが切れないと思うなと。
たまにクレーンで吊り上げた商品の下をくぐる人がいるが絶対にやるなと
②トラック荷台で積みこむ時、自分の逃げ場を確保すること
ホイスト操作を間違えたり、クレーンが流れると、
事前に逃げ場を確保してないとトラックのアオリと商品に挟まれギロチンになる。
この二点は絶対に守れと言われた。
安全帽にこだわった父は、現場での着用にとても厳しかった。
ある時、ヘルメット着用のタイミングで運転手と議論になった。
父が出した結論は、就業時間中はヘルメットは終始かぶれという事だった。
運転中もヘルメット、事務所の中でもヘルメット、入社したがばかりの私は、職場以外で社員とすれ違っても誰か分からなかった。なぜならヘルメットの脱いだ顔を見た事が無かったから。社員旅行の時、社員の素顔は新鮮だった。そんなに安全に拘った父だが、私の兄は入社数年目に現場で大けがをして2年間入院、40年経た現在もその時の後遺症で足を引きずっている。
運送部門を独立させて、総合トラックを作りドライバーを移籍した時から、運転中のヘルメット着用のルールは撤廃した。
そんな環境に育ったので私なりに新人運転手に、①と②加えていくつか伝える。
③商品が崩れそうになったら、絶対に荷崩れを防ごうとするな。
手で持てないからクレーンやホークで荷物を動かしいる。クレーに吊られた商品は、手を上から添えるだけ。物損しても「事故」で終わるが、物損を防止しようとしてケガをしたら「事件」になると。鋼材は高額商品も少なく、ほとんどが代替えがきくので、物損を恐れるなと。
④ヘルメット/皮手/安全靴は、絶対に命や体も守る。
ヘルメットのあご紐を止めていなかった為、炎天下に荷台から転倒し頭部と強打し命を落とした社員がいる。葬式に参列した時のくやしさは忘れない。ヘルメットの僅か数センチつばがどれほど目を守ってくれるか。皮手はただ分厚いだけでなく、いざとなったらゴム手と異なり手がすっと抜ける。現場で私の不注意からホークリフトに足を踏まれたがある。安全靴の先の鉄板がつぶれ足が抜けなかったが、指は骨折しないで済んだ。
家内にも運転中に伝える。トラックに高く積まれた商品も、走行中に崩れることがある。平ボディが前に走っていたら車間を取れ、平ボディやトレーラーを追い抜く時は息を止め細心の注意を払って一機に。高く積まれた商品を押さえているのはたった一本のラッシングベルトやワイヤー、いつ切れるかわからない。前を走っている運転手は新人かもしれない。運転手に荷締めの国家資格もない。交差点を右折する際、鉄板を路上にバラまいた協力会社の運転手、事故後、運転手に事情を聴くと「近い距離なので荷締をしなかった。カーブを曲がる時、わだちにハマってバランスを崩した」と、あきれてしまった。浦安鉄鋼団地近辺で、荷締めをしないで入っている青ナンバートラックを見かけ該当の運送会社に通報したが、配車係の対応は「それが何が悪い」と言った応対だった。だから営業トラックだから安心安全は、絶対にないと。
素人が管理する花壇、花が無くなるとホームセンターから数点花を買ってきて植える。家庭で育った花を持ってきてくれるケースもあり、地植えなのでそれなりに育ってくれる。私の担当として、雑草取り、咲き終わった花の茎を取ること、そして土のふかふかに保つ為堆肥を加えたりしてそれらしい管理をしている。本格的なガーデニングの知識はないので無計画、ツバキもパンジーも枯れた後、百合のお蔭でこの数週間は花壇が華やいでいる。出勤や退社で会社を前を通り過ぎる人が、足を止めて花を撮影している姿を見るとなぜか嬉しい。
実は会社には花以上に人気の被写体がある、わが社に住み家としている猫ちゃんで、猫好きの人には人気がある。
セブンイレブンの店舗への3回配送の内、午前配送を深夜配送に切り替える。目的は渋滞のない深夜の利用により配送効率をアップさせるという。セブンイレブンの仕事をメインにしている運送会社にとっては、荷主から要望があったら選択の余地もなく受けざる得ない。人間は本当は深夜は睡眠をとる方が健康に良いのは間違いない。セブンイレブンの役員は、土日を休み夜は自宅で寝ている。お金を払っているから、良いのではと言っても何か腑に落ちない。
私は24時間営業のコンビニの出現により、貧富の差を広げたと思っている。フランチャイジーは契約により24時間/365日、オーナー自身も深夜に働くケースもあり、アルバイトも賃金はちょっと高くても深夜を逆転させる生活をする様になる。コンビニのヘビーユーザー顧客、販売価格が高いことを知っていてもそこで買い物をしなければいけない理由がある、役立っていいると言えばそれまだか、コンビニでしか買い物できない社会は何かおかしいと思う。
当社の運転手の平均年齢は高い。理由は22名のドライバーの中で上は74歳~65歳が多く在籍している。
そして皆がエース級。人柄も良く、仕事に対する姿勢も尊敬すべき事が多い。運転手の自慢話をしたら止まらない、いかにお客様に可愛がれてきたかの歴史は長く深い。
年収の高い大企業は、40歳過ぎると会社に継続して在籍できない巧みな仕組みが出来上がっている。入社早々から少額でも給料の格差をつけ、その次にはポストに差をつけ、徐々に「会社にとっては貴方は不要な存在なんだ」と自覚させていく。給料やポジションに差がつくとそれを縮めることは容易ではない。そろそろ退社すべき時期ですよと40歳を過ぎると納得させていく。下の年代からの追い上げもきているから。企業間の競争を考えると、序列をつけ去ってもらう仕組みを作るべきかもしれないが。
運送業界でも社員の平均年齢が若いことを自慢する社長もいる。その為に若い人を積極的に採用する、一方では高齢者に対して冷遇してはいないだろうか。はっきり言いたい、わが社の自慢はドライバーの平均年齢の高さである。
親と一緒に住んでいた時はちょっと汗をかくとすぐ着替えをし多い時一日3回位は着替えていたかもしれない。
母親の口癖は「洗濯機が洗うので」と、いやな顔せず快く洗ってくれていた。
運送会社は洗車にタオルを沢山使う。バケツで雑巾を洗うことに手間を掛けるなら、洗濯済の新しいタオルをどんどん使って欲しい。タオルの洗濯はなぜか私の担当で、2日に一度は洗濯機を回す。そんな時いつも「洗濯機が洗うので」と言ってくれた母親の言葉を思います。会社で使うタオルは年賀の挨拶にいただくタオルが一般的だが、社員の数名は自宅で使い終わったバスタオルももってきて会社で使って下さいと言ってくれるのでバスタオルが多い。バスタオルは厚手で保水性も高く洗車の後のふき取りには最高だ。小さな会社だからこんな仕組みが回っている。色々な柄の入ったタオルは使っていて、なぜか家庭的で温かい気がする。
仮説をもっている。偏差値の高い学校の生徒ほど、通学時にテンポ良く、テキパキと歩いていると。時間の使い方が上手、健康を含め自己管理が出来ており、強いて言えば学校に行くことに目的をもっているから、おのずと歩行に絶対スピードがあると。会社顧問の小宮一慶さんから、同じく企業研修をしても聞く人の意欲により教育効果が全然違う聞いたことがある。当たり前の様な話だがとても重要で、抜本的には意欲のある社員が採れているかに起因する。小宮さんに幹部会と称する当社の月一のミーティングに毎月参加してもらっていたが、有る時小宮さんから「総合トラックには、自分で目標数値を達成出来るような幹部と言える社員はいませんね。」と率直に言われたことがある。年商千億単位の企業にも、顧問やコンサルとして関わる小宮さんの正直な言葉なので素直に現実を受けとめた。
浦安千鳥の当社の前を、朝8時を過ぎると近隣の企業の多くの働く人の出社風景を目にする。物流団地なのでパート採用の若者が圧倒的に多く、観察していると友達とつるんでだらだらと足を引きずる様にゆっくりとしたテンポで歩く人が多い。反して、弊社の社員はつるんで出社するものは一人もおらず、テキパキとすさまじい歩行スピードで会社に突進してくる。毎朝、会社のまわりを掃除しながら、見て見ぬふりして観察していると、何人も抜き去って出社してくる。競馬を見ているように「よし、その調子、もう一人抜け」と心の中で叫んでいる。歩く姿に、今日も良い仕事をしようと意欲を感じる瞬間である。
学生時代の3年のドイツ語の試験、数日前より歯茎が痛みだし顔が日に日にお岩さんの様に腫れて勉強が手につかなかった。試験当日に腫れた顔で担当のS教授室に行き状況を伝えたが「特別な措置は講じることはできず、後期の試験を頑張ってくれ」とだけ言われた。温情を求めた私自身と先生の無情な返事に腹立たしく、複雑な気持ちだった。加えて腹立たしかったのは、S先生から病気に対するねぎらいの言葉が一切出なかったことだ。先生である以前に「人間としてどうなの?」と言うことだった。若いS先生、普段から人間味もなく退屈な授業だったので、後期の授業も試験も受けることなく、必修でも単位を落とすことにした。結局、数日経っても痛みは収まらず、東京歯科で歯茎を切り開き骨を少し削る手術をすることになった。
社会人になって、体が辛そうな人とか病気の人に接すると、本人の痛みや辛さは解らないまでも必ずねぎらいの言葉を一言掛けることにしている。こんな時不思議と半面教師として、S先生のことを思い出す。卒業し数年後NHKのドイツ語講座でS先生を発見、笑顔で司会をしている顔を見た時は、改めて昔の腹立たしさが蘇ってきた。S先生には良くも悪くも身をもって、あんな冷たい人間にはなりたくないと、大切なことを教えてくれた生涯の恩師となっていた。
ビジネスバッグは色々なタイプを使ってきが、大体3~5年で壊れる消耗品。一方で一生使いたいバッグもあり、45年前のイタリアのバックは今でも大切に使っている。このバッグの現在も販売されており65万円と高額である。でもこのバッグ、高級な革を使用し、熟練の職人が作ったとしても20万円が精々だと思う。45年前の店舗はミラノ本店1だったが、現在は日本だけでも13店舗あり、伊勢丹メンズ館一階入り口などのテナント料の高い一等地で売られている。結局はテナント料と人件費と広告代が、高く売らなければならない構造を作っている。
スポーツクラブはコロナ前には週7回通っており、お気に入りのインストラクターのレッスンは必ず受けていた。スポーツクラブはプール付きで1000平米だと10億の設備投資が必要、水道電気や設備維持のランニングにかなりのコスト、インストラクターの費用は5%以下である。お客様が必要とする部分にお金が使われず、失った会員を補填するために広告費に同額を使う。
飲食店で歴史があり遠方からも集客できる繁盛店の共通点は、単品で勝負している。安さ・多彩な品揃・店舗立派さなのではない。上等食材を使い、味を守る為には手間を惜しまない。お客様の求める部分は以外は徹底的にそぎ落とし、自社の強みにお金を手間をかけてきたのである。常識にとらわれずに一点集中してきたのである。
運送会社の差別化が難しい中、コストはスケルトンなので収益の確保は難しい。販売管理費の比率を下げるためには、拡大路線が常道手段となる。
でも拡大路線や横位置の戦略から一度離れ、お客様がこの時代に何を望まれているか見つめ直しその部分に資金を思い切って投入すれば、ブレイクスルーが可能かも。 (梶記)