神楽坂のアユミギャラリー。
画廊オーナーの鈴木喜一氏の毎年恒例の自身の個展のオープニングレセプション、司会を務める。
鈴木喜一さんと知り合って親しくさせていただく様になって15年位。
鈴木氏の本業は建築家だが、ギャラリー経営、建築塾・美術塾・写真塾を主催、武蔵野美術大の講師、文筆活動等マルチな活動。金儲けの物差しでは、評価は高くないだろう、なぜなら年間に3件しか建築設計を手がけず、その顧客も縁故がほとんどだから。でも交際範囲は幅広く、老若男女問わず、自然体のキャラクターに圧倒されてしまう。
人をたくさん雇用して手広く商売してきた建築設計事務所は、この不況では大変だろうが、微妙なバランスをもって多角的に、且つ質素な経済活動してきた鈴木事務所はびくともしていない。その理由は、利益を追いかけず、自分の納得する仕事や人との縁を大切にしてきたから。
地上部分は普通だが、実は土の中の根っこは大きい大樹の様に。
鍵山秀三郎著「仕事の作法」(PHP)を読む。
【安易な価格競争に走るなかれ】の章より・・
ただ「安ければいい」という昨今の考え方は、この付加価値の否定につながります。自分では何も努力せず、生産者に無理難題を押しつける。安い売りするために、コスト割れの仕入れ価格を要求する。一方、仕入れた商品を何の工夫もせず安売りする。少しでも商人としの誇りがあるのなら、安易な価格競争に走ることなく、心のこもったサービスを付加価値として提供すべきです。(P97~100の抜粋)
鍵山さんは、一缶100円の清涼飲料水が仮に39円になったとしても、豊かな気分になれないし、三本一緒に飲む人はいないし、ものを粗末にするだけと説く。
そういえば「経済は皆を幸せにするための道具」と藤本幸邦さんが言われていた。
皆が付加価値を尊重しあえば、皆が幸せになれるかもしれない。物を大量に作り、安価にして大量に消費していくことで幸せにはならないかもしれない。
今の景気を考え合わせた時、運送に携わる我々は、どんな考え方で何をすればいいのかを考えてみると、これも又難しい問題だ。
(写真: 「問題に近づく」 写真は市販のカレンダーより)