数年前に千駄ヶ谷駅の改札で見かけた光景がある。大きなバッグをもったスポーツ刈り高校生が改札口を出て、そこにいた上級生に挨拶する。でも上級生は返事もすることなく無視する。そんな状況が改札口で次々と続いた。体育会系は上下の規律を重んじる「学年が一年違うと虫けら同然」という風潮があり、それが上級生の威厳としているのかも知れない。でも挨拶の無視は、傍で観ていて感じが良いもにではない。
同じような事例が運送でもあり、ドライバーが初めての配送先で荷受人やフォークマンに納品や出荷伝票を渡すと、返事せず全くしゃべってくれない、ここに車を入れろと指さす程度だ。かと言って彼が無口か言うと、常連のドライバーにはろくでもない話題で親しげに話している。
事務所内でも、女性や部下が取り次いだ電話に「誰々さんから電話ですよ」と伝えると、「ハイ」の返事もなく無言で電話を取り電話の先とは妙に親しげに、場合によってはへりくだって話しだす。この習慣は社内で伝染する場合が結構あり複数の人が同じことをして、社風になっている事がある。電話を取る順番は多くの場合は役職の低い人で上席に電話を伝えるが、無視して良いとは思わない。会社の役職はあくまでも役割であって、人間である以上対等であり平等でなくてはならない。「ハイ」の一言に「電話を取り次いでくれて有難う」の気持ちを込めても良いのでは。私はガードマンや受付のある会社に入退社する時は、その人達に必ず頭を下げる。その人がいる数メートル回りにはその人のオーラや気配があるから。