名糖運輸の中興の祖 田中久夫先生は、一倉定先生の教えを受けついで現在に置き換えて教えてくれる。過去10年で30回はゼミを受講している。この数年はご高齢なので、新潟のゼミ会場までの往復を車でご一緒させていただき、親しく教えをいただいている。
先生の経営者としての成功の秘訣を盗もうと必死で学んだ10年だが、車の中で名糖運輸の成長期の歴史を聞く中で、重要なキーワードをいただいた。
「他の会社と同じことは、しなかった」とポツリと言われた。講義では強調されなかったことだ。田中先生の経営はアイデア豊かで、次から次と新しいことを考えて実践してこられた。イトーヨーカドーがアメリカのセブンイレブンに学び、コンビニエンス事業を日本で展開する以前に、すでに田中先生はその業態を研究のためアメリカで学んでいた。イトーヨーカドーが日本でコンビニの配送できる物流会社を探しているとき、アメリカのセブンイレブンから名糖運輸が紹介されたと言う。給料体系も年功制から先駆けて年俸制度に独自で研究して実践されてきた。
「他の会社と同じことは、しなかった」この言葉をもう一度じっくり考えてみたい。
ジム・ハンターの「幸福の習慣」と言う本がある。ギャラップ社が150カ国で調査した結果をもとに、統計的に幸福について論じた本。5つの要素が満たされていると幸福になれるのだという。なれるというか、少なくとも「自分は幸福」と感じる事ができると書かれている。
その5つとは、仕事な/人間関係の/経済的な/身体的な/地域社会の幸福である。
仕事に関する記述が興味深い。
・朝目が覚めると、自分がその仕事において必要とされるワクワク
・上司といる時間が楽しい
・仕事と趣味の境目がない
・仕事の中に自分の強みを使える機会がある
・週始めがワクワクする(その反対が、週末の為に生きる)
そして、幸福はまわりに感染していくと言う。
生活の為に仕事をして、退社後や週末の趣味や余暇に楽しみを求めるのも悪くはないが、折角仕事をするなら仕事が趣味と言えるほうが幸せかもしれない。
なぜなら自分が主役になれるから。