経営計画発表会で、「ゴルフや釣り等の趣味以上に仕事が楽しいものになれば、どんなに幸せなことか」と言う主旨の話をした。その後の感想文でH君からこんな質問があった。
”「仕事ありき」についてのお話ですが、判っているのですが、やはり日曜日は憂鬱になってしまうのです。社長はいつ頃から、何がきっかけで仕事が楽しくなったのでしょうか? その辺の経験談もなんかも、もう少し聞きたかったです。”
30歳までは、日曜日の午後、特にTV番組の笑点のテーマソングを聞くと、週末の終わりを感じさせ心を暗くした。憂鬱だった。35歳ころも多少憂鬱だったかもしれないが、段々と日曜日に魅力を感じなくなってきた。体を動かすのもだるくなってきた。月曜日以降快適に仕事ができるよう、そのために日曜日を費やす、ということで、安らげるようになった。
・仕事を通じて心が通じる仲間がいて、共通の時間がすごせること。仕事について語りながら飲むことも幸せな瞬間。
・自分の能力が生かせる場があり、「あなたでなくてはと」アテにされ出すと、やりがいは出る。
・工夫には限界はない。ちょっとした工夫が仕事の質を上げるか、生産性を高める結果になった時は、自慢したくなってしまう。
DELLのパソコンが、作業中にいきなり画面が真黒になり電源が落ちてしまった。
電源をつけ直しても、OSが立ち上がらない。データーのバックアップはとっているが、メールの履歴がなくなるのは手痛い。気持ちがグレーになってくる。3年は経過しているので、保証期間も切れている。特別なサポート契約もしてない。修理に出しても相当な日にちがかかる。
思案したあげく、購入時の使用説明書をパラパラとめくるとサポートセンターの電話番号を発見。日曜日だし、どうせ電話も話中で繋がらないだろう、下手すると相談に課金されたり、きっと修理センターに送くる顛末になるだとうと、半信半疑で電話してみた。
ところが電話が一発でつながり、自動音声の案内も3項目位の認証で、生の声が聞こえてきた。
対応が丁寧で、電話が切れた時の為に私の電話番号を教えて欲しいとの依頼、誠意があるし、何とか直そうと真剣である。機種名、本体ランプの点灯で症状を把握し、即座に回復できる可能性があるので、作業手順を説明いたしますので手伝っていただけますかとの依頼。指示されるままにパソコン本体のカバーを外し基盤入れ替える。一言一言が丁寧で、指示事項も的確。電話の先で、「落ち着いて、ゆっくり作業して下さい」と励まされる。
そして作業を終えると、見事にOSが立ち上がった。無料のサポートでこの丁寧さは見事である。日曜日にこれだけの対応力、DELLのサポートセンターに相当数のスタッフがいるのだろう。
インクジェットプリンターを頻繁に使うと廃インクがたまり、修理のサインが出てくる。メーカー修理に出すと数年前まで無料だったが、ある時から有料になり七千円位の修理代が請求される。
持ち込んだ家電店に不満を伝えると、キャノンもエプソンもほぼ同時期に有料化したそうだ。販売競争で価格を勝手に下げて、あげくの果てがサポートで収益を上げる体質に変わってきた。新機種はどんどん出るが、プリンターの本体もかなり安っぽくなってきた。私だけの感想ではなくメーカーの販売員が言うのだから間違いない。消費者無視もはなはだしい。
OA機器の購入のポイントはアフターサービスであることを理解してないメーカーが多くなってきた。そんな事を考えるとお金を生まないが、ユーザーを満足させる部分に手間をかけるDELLの戦略は正しいと思う。
なぜなら多少の価格差なら、次回も間違いなくDELLを買うだろうから。
経営計画発表会を実施して15年位経過した。
昨年はさすがにリーマンショック直後で先も見えなかったので中止した。
発表会は私のワンマンショー、最初の5年間は2時間位自分の仕事に対する想いをひたすら話し続けた。徐々に時間は短くしてきたが幹部社員から「聞く方の集中が持続しないので、せいぜい45分にしてくれ」と泣き付かれた。
それならやってやろうと、30分を目標に今年は話した。絶対に伝えたい事にはジェスチャーをつけ、聞く方にも実践してもらった。
そして絶対に飽きさせない仕組みとして、感想の用紙を事前に配り記入を義務付けた。
聞いてもらう為の感想文が意図だったが、でも予想外に素晴らしい内容の数々にうなってしまった。
以下は○石君の感想文(ベテラン 普段は無口で話かけても「ウー」とか「オー」としか言わない彼だが・・・・)
1)感想
売り上げを伸ば事は運転手である私自身にとても重要であり、スキルに関わることであると考える。
売り上げを伸ばす為には、私達運転手側がお客様に不快な印象を与えぬ様配慮し、確実な信頼関係を築いていく事であると考える。
運転手は会社の顔であり、お客様との接点も多い。「この会社にまかせて安心だ」と思える様な私達の配送、心配りが必要なのではないかと感じた。
2)2010年仕事でやってみようと思う事
上記の様な考えで仕事を実践し、お客様第一仕事を行う事をする。
知り合いの経営者より、姻戚が運送業に携わって、その会社の先行きについて電話で相談を受けた。
・30歳前で頑張り屋。数名雇用し、営業ナンバーの2t車を数台動かしている。
・朝6時~夜8時まで運転し、帰宅後は帳簿付け。
・結婚しており、間もなく子供が生まれると言う。
・かつては特定荷主があったが、その仕事が不安定になってきている。
・1台当りの売上は、50万円位だとのこと。
ここまでの状況説明を受けて、梶君の意見はと聞かれた。
志のある青年が、運送業界で生計を立てていこうと頑張っている。
本来なら、明るい未来を確信して「頑張って欲しい」とエールを送るべきところ、私の意見は逆だった。
・運送業を経営して、今後この規模で一家の生計を立てて行くのは難しい。
・隣のコンビニが酒を扱うようになった商店規模の酒屋に等しく、中小の運送会社にとって営業ナンバーの価値はない、参入障壁が低すぎる。
・この規模で1台当りの売上げが50万円だとすると、実質経営者の手取りは25万円前後では。
・車両事故や売上減少のリスクを考えると、自営の意味があるのか? 運転が好きなら、大手運送会社に転職するのも検討したらどうか。
こんな意見を知ったかぶりして伝えたが、私自身、業界人として誠に情けない解答である。
白岡LC所属の照井真理子さんが12月27日に亡くなった。日曜日正午、自宅でゆっくりしている時、突然のくも膜下出血で意識不明に。救急車で病院に搬送するが数時間後、無念にも息をひきとる。
余りに突然で私の心の中でも整理がつかないので、親族にお願いして納棺から立ち合せていただく。衣服を着替え化粧して顔を整える。彫も深くお化粧を終えると、やっぱり美人である。
その間70分余り、照井さんの色々なことを思い出してみる。
皆を導くリーダーシップはもっているが、会社の中では一歩下がって謙虚でいた。言っていることは正しく聡明だった。でも酒の席になると、リーダーシップが顔を出してくる。スタッフを下の名前で呼び始めると、個人個人への指導がはじまる。総合トラックを好きでいてくれたと思う。長く勤めてもらったのに、ジックリと話し合ったことが無かったのが、今さらながら残念に思う。
葬儀は26才の長男の慎司君が喪主になったが、明るく振舞い、大変な時にもかかわらず皆に気遣しする姿には、さすが「照井さんの子、お見事」と納得させるものがあった。
照井さんは観葉植物が好きで、その一部は会社で分けてもらうことにした。 カジ
数年ぶりにホームページをリニューアル、これが3回目。切っ掛けは、総合トラックのロゴが今年の1月より新しくして、ホームページ表記も新ロゴに変えるため。会社案内の階層も深くして、項目も整理した。ヘッダーはトラックのガラスに映りこんだ現場をイメージしている。
作成スタッフ
・デザインは大須賀君、センスが抜群で、忠実に要望をかなえてくれると共に仕事がかなり丁寧。
・プロデュースは小池渉氏、コンセプト作りとホームページにエネルギーを与えてくれた。新ロゴも彼の作品。
・当社側のスタッフは須藤氏 独特の感性をもち、作成サイドと技術上の橋渡しをしてくれている。
大きな改定ポイントは、TOPにスライドショーを持ってきたこと。動画やジャバスクリプトも良いが、写真スライドショーは写真の余韻が残り、心に訴えるものがある。16枚のスライドから構成され簡単に差し替えができる。
運送業には働く姿があり、時によっては見る人に感動も与える。働く人の汗は尊い。経営理念の一つ、「働くに人の汗に報いる」にも連動させている。
会社紹介の下に「物流に対する思い」というコーナーも設けた。デザインも決めたが、肝心の原稿が出来ていない。伝えたいことは一杯あるが、考えれば考えるほど難しい。 kaji
長野県篠ノ井にある円福寺の藤本幸邦老師(おっしゃん)のご逝去の訃報が、12月4日届いた。享年100歳。
小宮一慶さんが、おっしゃんが主宰する世界の恵まれない子供たちを支援する「SABA運動」の東京事務局長をされているご縁で、近しくお話をお伺いすることが何度もあった。私にとっては宝石の様に輝く、かけがえのない思い出だ。
おっしゃんには一杯のことを教えていただいた。「串団子の様に生きる」もその一つ。
自分、家族や友人、会社、社会や国家をそれぞれ一個一個の団子に例え、そのど真ん中に一本の串を通す。仕事を頑張ると家庭が犠牲になる、バランスを取ることは容易でない。
そこを自分の価値観で、団子がバラバラにならない様に一本の串を通す。どんな価値観で串を通すかが、個人のアイデンティティ。
家族を巻き込んで苦労をかけ、愛育園という親の引き取り手のない子供の施設を運営してきたおっしゃんの説明には説得力がある。私の心の中では、おっしゃんは相変わらずお元気だ。
最近、自分の趣味を、靴磨きと言っている。
靴磨きの奥は深い。一週間に同じ靴は二度は履かないので、当然週末には5~6足が靴磨きの対象になる。
60分~80分の時間をかけて、靴を磨いていく。その中でも1~2足に集中させて、時間の大半を磨き込みに費やす。
フランスの貴族は、自分の靴は自ら磨くと何かの雑誌に書いてあった。高貴な作業なのだ。靴クリームのキュイの匂いが、リラクゼーションを演出する。そして、次にアイロン掛けが待っている。
靴磨きを趣味というのは、正確には誤りである。
仕事しか趣味がない私としては、月曜日からスタートする仕事を円滑に進めるための準備に日曜をあてるのが楽しい時間の過ごし方なのである。釣りが趣味の人が、釣具や竿の手入れする心境に近い。
ドライバーでも仕事が無いのに、土日に洗車に会社にくる社員がいる。ピッカピカの車、爽やか気持ちで月曜日が迎えられる。 カジ
N新聞の取材を受ける。民主党が総選挙のマニフェストに、最低賃金を全国平均で時給千円とする数値目標を掲げ、政権政党になった。最低賃金の上昇について運送業界への影響を聞きたいとの取材であった。
運送業界への影響は少なからずある。ドライバー職は外国人労働者やアルバイトは少ないので、賃金レベルはクリアーしているが、物流加工等の一般軽作業やパート事務員の時給はダイレクトに影響を受けそうだと答えた。
運転手の給料は、このところ下降傾向にある。業種平均でもその傾向は出ているが、荷動きが悪い業種の荷物を運んでいるドライバーは相当影響を受けている。
運送業は、勤続年数は評価されない。20年勤続のベテランドライバーと数年のドライバーも運送売上は余り変わらない。当社もそうだが、運転手の給料に売上に連動した歩合制を採用している会社が多い。だから物量の減少が給料を直撃する。
かつては月給40~50万円位の時代もあった花形の長距離ドライバーも、仕事は年々過酷になるのに反し、ここ数年月給は下がり30万円を切るケースも多々ある。
良き時代を経験した50歳過ぎのドライバーも今になってドライバー職を選んだことに後悔せざるえない状況。月給30万円は一見良さだが、ボーナスは名ばかりの業界で、退職金も大手以外ではしっかりと支給する会社は少ない。
運送業に従事する人は、仕事に誇りが持ち、運転も好きで、体を動かしていくら汗を流しても文句は言わない。でも一家の主として生計は立てていきたい。幸せを求めて働いている。
私は、共働きでせめて2人の子供は高校を卒業させられる給料は、業界として確保していきたい思う。子供が2人なら、人口維持にも貢献できる。
そんな想いを込めて、最低賃金千円は少なからず影響を受けるが、結論は賛成だと答えた。その達成のためにも、業界として価格競争から価値競争への舵取りは必要不可欠だ。
(写真: 新聞掲載に使われた写真)
名糖運輸の中興の祖、田中久夫先生に年に数回経営のご指導を仰ぐが、90歳になられても、そのアドバイスは核心をつく。
数ヶ月前の勉強会で「物量の激減で、一般的には黒字化を目的にするのではなく、いかに赤字を最小限のするか、のための激烈な価格競争に陥っている。先生の過去の豊富な経験に照らして、この現状を打破する為のヒントやアドバイスを」と質問した。
先生は少し間を置かれて一言「良い仕事をするように心がけてください」と言われた。その説明は一切されなかった。先生のご指導は私心をはさまず、ニュートラルである。ラジオの人生相談は好きでよく聞くが、相談内容を聞いていると首をかしげることがある。多くのケースで、相談者は相談以前に自分なり答えをもっておりそれを正当化したい為の誘導質問だったりする。回答者が相談者の思考パターンの延長上で答えを出しても、本当の幸せはには導けない。
田中先生の解答は、正に肩透かしだった。でも時間の経過と共に先生の真意が理解できるようになった。先生はこう言いたかったのだと思う。「あなたの会社の売上はいくらなんですか? 数百億ですか? 数千億ですか? 業績を景気の責任にできるのはそのクラスですよ。自社の業績悪化の原因を、不況に転嫁する前に、あなたは社長としてやるべきことしているのですか? 確かに安い価格を望まれている顧客もいるかもしれないが、良い仕事をする運送会社を望まれている顧客も多くいるのでは? こんな時代だから、良い仕事がより評価されるのではないですか? 頑張りなさい。」と