名糖運輸の中興の祖 田中久夫先生は、一倉定先生の教えを受けついで現在に置き換えて教えてくれる。過去10年で30回はゼミを受講している。この数年はご高齢なので、新潟のゼミ会場までの往復を車でご一緒させていただき、親しく教えをいただいている。
先生の経営者としての成功の秘訣を盗もうと必死で学んだ10年だが、車の中で名糖運輸の成長期の歴史を聞く中で、重要なキーワードをいただいた。
「他の会社と同じことは、しなかった」とポツリと言われた。講義では強調されなかったことだ。田中先生の経営はアイデア豊かで、次から次と新しいことを考えて実践してこられた。イトーヨーカドーがアメリカのセブンイレブンに学び、コンビニエンス事業を日本で展開する以前に、すでに田中先生はその業態を研究のためアメリカで学んでいた。イトーヨーカドーが日本でコンビニの配送できる物流会社を探しているとき、アメリカのセブンイレブンから名糖運輸が紹介されたと言う。給料体系も年功制から先駆けて年俸制度に独自で研究して実践されてきた。
「他の会社と同じことは、しなかった」この言葉をもう一度じっくり考えてみたい。