事務所でクレームやトラブルらしき電話を耳にすることがある。「今の電話何なの?」と聞くと、状況説明の後に「大した事ありません」という言葉が付け加えられることがある。でも、過去を振り返りこの「大した事ない」に惑わされて初動が遅れて多くの犠牲を払ってきたし、お客様の不満を闇にもみ消してきたかもしれない。
この言葉の裏にはいくつかのケースが考えられる。
①大きいミスや大きな事故に比べて、大した事ではないとの判断
②上司に安心してもらうため、冷静に対応するための配慮、
③お客様はこちらからの対応や説明で一応納得してもらった
④自分のミスを社内のメンツから、もみ消そうとする時
「大した事ない」は何もしなくても大丈夫と捉えがちだし、「処理は私に任せて下さい。上司の出番ではない。」との意志表示ともとれる。過去の痛い経験もあるのでそれでも屈せず、軽く捉えるなとの意見や具体的な指示は出す。
自宅で絨毯にワインをこぼしたとする。そのもの音に隣の部屋にいる家内が異常に気づき「あなた何かあったの」と聞かれたら、反射神経として「大した事ない」と返事をする。その時にはいくつかの心理が働く。自分のミスを揉み消したい、怪我はしてない、クラスは壊してない等、でも絨毯は真っ赤。直後の惨状を家内に目撃されたたら、それこそ大事件である。直ぐさまタオルをもってきて掃除しはじめる。あらゆる手段を使ってそしてシミが最小限になった時に「ちょっとコボした」と白状する。
この程度なら笑えるが、会社単位の経済活動となると問題軽視や問題の先送りは重大問題となる。「大した事」や「大した事でない」はお客様が判断することなのだから、思い込みによる問題の程度の報告は要らない。