セイノーロジックスの渡辺社長の部屋には、大きな世界地図が壁一面に張られていた。
大きな地図とは別に、気になる一枚の地図が。通常見る地図とは上下が逆になっている。ひっくり返して張ったのではなく、富山中心正方位図とあり地図に記載の文字が確り上を向いている。日本海が、ロシアと朝鮮と日本に囲まれた湖に見えてくる。
九州から北海道にモノを運ぶとき、釜山経由で運んだ方が安くつく。リードタイムは6日間。日本国内で陸送700キロの距離なら、海運を使って釜山経由でも、全ての諸費用を加えても価格の優位性はすでにあるそうだ。もしそこに安い海外の人件費を利用して、物流加工や製造工程を移管すればメリットは計り知れない。水は高いところから低いところに流れる。渡辺さんは情報レベルではなく、十数年前からその価格差に気が付き、自社のビジネスに組み入れている。
ここ10年で欧米の物流企業は吸収や合併を繰り返して数社に集中してきている。世界の勝ち組の物流会社である。ドイツポスト(日本の郵政に相当)グループのDHL、DBグループ(日本のJR)のSchenker はその中心にある。
渡辺さんの話にはフォワダーやインテグレーターといったカテゴリーは有ったが、物流会社や3PLといった言葉は出てこなかった。