正月に再放送されたNHK BS1スペシャル「爆走風塵(じん)中国・激変するトラック業界」は見ごたえあった。3000万人いると言う中国のトラックドライバー、長距離輸送に従事する3組のドライバーを追跡取材したもの。増え続ける中国国内の物流に対応するため、規制が緩和され、すべての車種での個人経営が可能なった。一攫千金を夢見て多くの人が車両を個人の借金で購入し物流業に参入。その後に起きた現象が供給過多による運賃の下落、加えて燃料高騰と高速料金負担。増え続ける車両事故と輸送トラブル。借金で車両と購入したから、赤字でも仕事を取るしかない。仕事は荷主→仲介ブローカー→ドライバーの流れで成約され、仕事完了時に運賃が直接運転手に手渡される。その商談が自由にできる様に巨大なトラックヤードがあり、展示会を想像させるほど巨大な商談スペースが用意されている。写真の収支ケースは、ギャラより燃料代と高速料金を上回り、人件費は全くでてきない。それでも次の運行に賭ける。この現象の背景には明らかに国策があり、物流が滞ることはないシステムだ。
日本で軽トラックだけに認められている物流の個人経営。物流2法以降その流れが2t車や4t車の広がるとの噂はあったが、この中国の状況をみると日本でのこれ以上の個人経営化は無いと確信した。でもうらやましく思ったのは巨大なトラックヤードである。ドライバーが安心して休憩できるスペースであり、市場も併設されて衣食住には困らない。日本では大きなトラックを止める施設が少ない、よく見かける現象だが道路の左車線を駐車場にしている。トイレはどうするのだろうと心配してしまう。(写真は全てNHKのサイトより出典)
この番組はネットで今でも動画でみることができる。