乱立している例で引き合いに出されるのがこの3業態。
全国でコンビニは約5万社、運送会社が約6万社、歯科病院が7万社と言われている。運送会社を例にすると、国民2000人に1社ある計算になる。乱立=競争を意味し、私のいる運送業界は厳しい。でもその3業態は実は内容にかなり差がある。
コンビニは確かに店舗数が多いが、大手が系列化しており業界を形成しているのは数社なのであり、各系列は特色を出しつつ極端な過当競争はしていない。年々店舗も多機能化させ他の業態に商圏を広げ、海外にも積極的に進出し拡大している。
運送会社は正確には62,000社で大手と中小零細企業が混在している。大手10社で業界売上の4割を確保し、多くの零細な運送会社がその大手の下請けになっている。大手が下請け仕事を出すのは自社よりコストが安いからで、下請の経営は常に非常に厳しい。
歯科業界には大学病院系であっても売上比1%はない。全て小粒で元請や下請けは存在しない。医科大の私学なら卒業までに6千万~1億円はかかる一方で、実際に働くと年収3百万以下もざらにいると言う。年間の倒産や廃業は1500件あり、別の問題が存在している。歯科の予防医療も進化して、若者の虫歯も少なくなっている。20歳になる私の息子は虫歯が一本もない。
最近の運送会社の深刻な問題は後継者。子供が優秀であったらなおさら、家業と言えども後を継がないかいもしれない。不動産があれば業態変更した方が良いかもしれない。数十前に倉庫業・運送業を廃業状態にして不動産の有効活用に方向転換した会社があるが隆々としている。一昔前の運送会社の社長には時間が充分にあった。朝トラックを送り出せば終日時間が自由になった。ラーメン屋や寿司屋やスナックなど飲食業に多角化した会社もいくつか知っている。昔は本業をないがしろにしてと軽蔑したこともあるが、いま考えれば将来を冷静に見ていた経営者かもしれない。そう言う私は目的があって不器用だが、物流業に依然しがみついている。