製紙のためのエネルギーは化石資源(石油・石炭)ではなく、バイオマスエネルギー(製紙会社がパルプを作る際に木材チップから回収される黒液)が使われる。
バイオマスは化石燃料とは異なり、樹木と光と水によって再生可能であるため環境への負荷軽減に役立つ。また製紙メーカーには別の顔があり、紙製品だけではなく電気を作る工場となる。工場で生産された電力はかなりの量を売電することが可能で、地域の貴重なエネルギー源となっている。
物流業界はただただ環境に悪影響を与える産業だけに、話を聞いていて羨ましくなった。
北越物流様のご好意で、北越製紙市川工場生産ラインを見学させてもらう。
その中で環境への取り組みについて多くの時間を割いてもらう。製紙事業が今までの私の認識とは全く異なることを痛感する。
製紙事業には2つの工場がある。一つは植林でパルプの原料となる森作り、いわゆる自然の工場で、もう一つはパルプと古紙を混ぜて紙を作る工場だ。二つの工場を足すと、二酸化炭素排出レベルでは、ほぼ+-ゼロ。
日本の古紙の回収率はここ数年でトップのドイツに迫り70%、その内10%は輸出され、残り60%は国内でまた紙に再生される。
古紙→紙の循環は3~4回が可能で、それ以降は繊維質が細り紙にならない。だから25~30%はパルプを混ぜていかないと循環していかない。
紙の消費が毎年一定であると仮定すると、今の回収率で完全に循環できることになる。
ただ、世界レベルの平均ではまだそこまでは達していない。今後の古紙回収過程の改善すべき課題は、より細かく正確な古紙分別かもしれない。
成分の一定した古紙は、製紙工程において使い勝手が良く、その意味では新聞古紙は貴重な原料となる。また古紙に混入した場合とっても困るものとして、①アイロンプリントのインク(インクが抜き取り難く製品の表面に浮き上がってくる) ②カーボン紙(インクが同様に製品に着色するため) ③トレーシング紙(ガラスの繊維質であるため)。
お客様への資料作りにインクジェットプリンターを頻繁に使う。
一回の使用枚数が数百枚とかなり多いので、インクカートリッジ代もバカにならない。
先日その不満を友人にぶつけたら、リサイクルカートリッジも注入インクを買っての補充が出来る事を教えてもらう。印刷も進められたが、途中細かな修正や変更もあるの弊社には不適と判断。
早速インクを購入し詰め替えるが、それが結構難しいく一度は顔にインクが飛び散り、且つワイシャツを一枚ダメにした。それ以来注意して作業するが、それでも洋服に飛び散る事は頻繁だ。考えたらバカみたいな話。
一見使用済みのカートリッジを回収し、環境にやさしいとPRしているが、実は同じ物を二度と使われてはなるものかと、必死にインクの詰め替えを難しくして使い捨てを誘導する。
プリンター本体は安くしてインクカートリッジで儲ける。
環境問題を食い物にされている気がしてならない。
ここ数週間は詰め替え作業のため指先はいつも真っ黒だ、これも自分風の環境へのこだわりか、いやこうなると意固地の世界かも。
ちなみに詰め替えすると、コストが4分の1位になり、今の使用ペースだと年間最低でも20万円位のコスト削減になる計算だ。
ベルトに伸び縮みするキーホルダーを通し、その先端に車両キーを付ける。車両キーと運転手を一体化させることにより、こまめなエンジンストップによる省エネ効果と盗難防止効果がある。自動車パーツ販売をしているキョクトーの坂井社長に相談すると、早速いくつかのサンプルを郵送してくれた。単に既製品を手配してくれたのではなく、方々で色々な同種の商品を探し、実際手にとって既存の中でベストと思われるものを選んで送ってくれた。それでも阪井さん自身が納得いく使い勝手のキーホルダーでは無かったので、メーカー特注でわざわざサンプル品を作って後日郵送してくれた。ただいま、送ってもらった数種類のキーホルダーを、モニターとして使わせてもらっている。商売とはいえ、この熱心さには敬服した。大阪で明け方まで飲み歩く阪井さんとは別の姿を見る。
(写真: 4種類のキーホルダーを送ってもらった。)
12月にガス関係者の研修会に講師として講演することになった。そこではガスの事を話す訳ではないが、少なくともガス業界のことは勉強しておく必要があると思い、お台場にある東京ガス展示館にて説明を受ける。今は家庭内エネルギーにオール電化のCMが盛んに流れており、正に電気vsガスの激戦になっている。解ったことは、石油も含め使用用途によって一長一短があるということ。又日本のエネルギーの自給率は先進国の中でも低い。ガスがこんなに便利に使用されているのに、海外からどうやって運ばれてくるかも始めて知った。(原産地で気体を一度冷やして液体にして船で運び、輸入国の沿岸で海水を使い気体にもどしパイプラインで送る)。石油に比べ原産国に偏りがなく、世界中で得られるのである意味安定して供給されている。でも天然ガスもあと50年位しかなく、現時点ではメタンハイドレ-ドが有力だと説明を受ける。
(写真: ガス科学館のHPより スタッフはとっても親切に説明してれたし、どんな質問にも知識が深かった。この場所に築地市場の移転が決定しており、ガス館も近々移転する。)
数年前に取引先である日本ボルボ社にお願いして、ボルボトラック社の環境への取組みをイヨテボリ本社で特別にレクチャーしてもらった。環境専門のスタッフが熱心にデータを説明する中、単純な疑問が頭を離れなかった。折角北欧まで来て疑問のまま日本に帰れない。恥を覚悟で「何でそんなにも熱心に環境問題に取り組むのですか?」と聞いてみた。馬鹿げた質問だったが、答えは明快「ユーザーである運送会社が環境にやさしいトラックでないと購入してくれないからだよ」加えて「環境は我々個人に降りかかってくる問題。だから解決のために会社がコストを掛けることは当たり前だと認識している」。恥ずかしくも国民性や価値観の違いを体感した一瞬だった。私のレベルの低さを知ってくれた後は、先方もより親しみをもって丁寧に説明してくれた。
各事業所でファックスやプリンターで使用した紙は、本社に持ってきて裏紙面を利用する。オーダーミスを防ぐため事業所では裏面は使用しない。本社でプリンターでの元帳打出しや、コピーに使われる。そこで使用が終わった紙は(複写紙等は排除し)、ライトバンでお取引先の製紙メーカーに直接持ち込む。現在は、表面の発生と裏面の利用は均衡しており効率は良い。以前にイエローハットの本社を見学させていただいたことがあるが、百人以上いる事務所から発生する可燃ゴミは、回収日でも45Lのゴミ袋一つ分も無かった様に記憶している。すごいレベルだった。
(写真: 事前に整備しておかないと、コピー機の紙つまりの原因となる。)
スウェ-デンの環境への取組みは徹底している。国会で脱原発が決まると最新鋭の原発から順番に廃棄していく。スウェ-デン製のトラックはアイドリング音が日本車に比べうるさい。近隣への騒音公害にならないかとメーカ-に聞くと「トラック停止時は、エンジンストップするもの」との答え。信号で1分以上待つ場合は、エンジンストップが義務づけられる国の考え方だ。 引き続きスウェ-デンの大手物流会社で環境専門スタッフにレクチャ-を受ける。環境への取組みのパンフレットが会社案内以上に用意されているのに驚かされる。何でコストアップしても環境にやさしいトラックを購入するのかと質問に「低公害のトラッでないと、荷主から仕事がもらえないからだよ」とメイカー同様に明確な答えだ。コンビニで飲料を購入しレジで袋を要求すると、軽蔑した雰囲気で手渡された。国民の意識の違いがここにもあった。